売買契約の書類収集をしているとき、「付帯設備表って何を書けばいいの?」と疑問を持つ方は多いでしょう。
中古物件の引き渡し後にトラブルが起こらないよう作成する書類であり、不備があると後から損害賠償を問われる恐れがあるため、丁寧に作成しなければなりません。
こちらの記事では、不動産売却で必要な付帯設備表とは何かお伝えしたうえで、記載事項と注意点について解説します。
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不動産売却で必要な付帯設備表とは
付帯設備表とは、売却物件に付帯している設備について記載した書面です。
中古物件の売買契約では、数千万円規模の買い物をする買主を保護するために物件や設備の状態を告知する義務があります。
ここでは、売主に課せられる契約不適合責任と付帯設備表を作成するべき理由について解説します。
売主の契約不適合責任
契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは、中古物件の売買取引において契約書に記載されていない欠陥や不具合があったときに売主が責任を負う義務です。
以前までは瑕疵担保責任と呼ばれていたものの、宅地建物取引業法の改正により現在は契約不適合責任と呼ばれています。
マイホームを購入する買主の多くは不動産に関する専門知識を持ち合わせていない可能性が高く、引き渡し後に「聞いてた話と違う」とトラブルになるケースが懸念されます。
そこで、宅地建物取引業法では買主を保護する目的で契約不適合責任を設けて、物件の欠陥や不具合は買主にすべて伝えたうえで取引するように義務付けました。
付帯設備の有無や欠陥・不具合の状態については、細かく書面で記載したうえで、売買契約の前にすべてを伝えて納得してもらってから締結に進みましょう。
付帯設備は契約不適合責任の対象にならない
個人売主の場合、売買契約書で「付帯設備に対する契約不適合責任は負わない」と条項を追加しても良いとされています。
この条項を追加すれば、物件の引き渡し後に欠陥や不具合が発覚しても売主に責任は発生しません。
ただし、付帯設備の欠陥や不具合を把握しているにも関わらず、意図的に隠したケースに限っては契約不適合責任を問われます。
そのため、売買契約書で条項を追加したとしても、付帯設備の有無や状態については別途細かく説明する必要があります。
付帯設備表を作成するべき理由
中古物件の売買取引では、売主が物件に住んでいる状態で販売活動がおこなわれるケースも珍しくありません。
その場合は、物件には家具・家電などの付帯設備が残っています。
内見に来た買主は、エアコンや給湯器などをそのまま引き継げるものだと思い込んでしまい、引き渡し後に認識の違いでトラブルになるケースがあります。
こういったトラブルを未然に防ぐためにも、中古物件の売買取引では「何が付帯するのか」「付帯設備の状態は問題ないか」を説明した書面が必要です。
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付帯設備表の記載事項
付帯設備表の書き方には、明確な決まりはありません。
実際に、公益社団法人・全日本不動産協会と一般社団法人・全国住宅産業協会では付帯設備の記載事項について異なる内容のフォーマットを用意しています。
ここでは、引き渡し後のトラブルを防ぐために「これだけは書いておくべき」との記載事項について解説します。
主要設備
主要設備には、給湯器・水回り(流し台・水栓・浴槽・シャワー・洗面台)・冷暖房機などが挙げられます。
これらの設備は、経年劣化で動きが鈍くなっていても、生活に支障がないと「不備が起きていない」と錯覚して記載を忘れる方が多いです。
そのため、家電などは設置時期・使用年数を調べて、残っているのであれば取扱説明書と保証書と一緒に買主に渡しましょう。
お風呂の追い焚き機能やトイレの洗浄機能などで不具合がある場合、「どんなときに作動しないか」を細かく書いておくと理解してもらいやすいです。
冷暖房機器については、「暖房と冷房のどちらも使えるのか」「お掃除機能はついているのか」などの性能まで細かく記載します。
その他の設備
その他の設備には、証明・収納・雨戸・シャッター・テレビ・カーテンレール・車庫・物置きなどが挙げられます。
収納は造り付けのみが付帯設備に指定され、取り外しできる本棚やタンスは売主が撤去しなければなりません。
主要設備とは異なり家電製品を含まないため、経年劣化の度合いや物理的に動きに問題がないかどうかを記載するようにしてください。
「車庫は物件の一部なのでは?」と考える方もいますが、取り付けられているタイプであれば、付帯設備に該当します。
サイズによっては買主の所有する車が入らない可能性もあるため、広さや高さなどの具体的な数字や駐車できる車種を記載するとわかりやすいです。
特定保守製品
付帯設備のなかには、特定保守製品と呼ばれるものが含まれます。
特定保守製品とは、販売会社の定期点検を受けないと経年劣化で家事や死亡事故など大きなトラブルに発展する恐れのある製品を指します。
2009年の改正消費生活用製品安全法で9つの製品が指定されましたが、2021年の改正で石油給湯器と石油ふろがまの2項目まで絞られました。
付帯設備に石油給湯器と石油ふろがまが含まれる場合、定期点検が必要である旨と定期点検をする会社の連絡先を告知しなければなりません。
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付帯設備表を記入するときの注意点
付帯設備表の作成を忘れたり不備があったりすると、契約不適合責任を問われて金銭的な負担が発生する恐れがあります。
引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、入念に確認したうえで作成が必要です。
ここでは、付帯設備表を記入するときの注意点について解説します。
必ず動作確認
引き渡し後に買主から欠陥や不具合に関する指摘を受けないためには、付帯設備の状態を正確に記載しなければなりません。
普段は使わない機能も含めて、すべて動作が正常におこなわれるかどうかを確認して、その結果を書面に記入するようにしてください。
しかし、生活していると小さな欠陥や不具合に慣れてしまって「問題ない」と判断してしまう恐れがあるので、客観的な評価が必要です。
動作確認をするときは、物件で生活していない第三者や仲介業者の担当者などに立ち会ってもらうのがおすすめです。
撤去の有無は相談する
付帯設備を撤去するために処分費用が高くつくため、買主が引き取ってくれれば売却費の負担を軽減できます。
付帯設備表を作成したからといって経年劣化の進んでいる家具や家電をすべて残してしまうと、買主に撤去負担が回るため、引き渡し後のトラブルに発展する恐れがあります。
撤去するべきか悩む付帯設備があれば、まずは買主に相談してみてください。
「撤去しなくてもよい」といわれれば、処分費用はかかりません。
ただし、物件に残す付帯設備については、契約不適合責任を問われないためにも設置時期や状態について書面に記載して告知が必要です。
経年劣化
中古物件の場合、所有者がどんなに丁寧に生活していたとしても雨風などの外的要因や時間の流れによって経年劣化は避けられません。
何十年も生活している方にとっては経年劣化を感じづらくなりますが、買主は小さなキズ・汚れ・欠陥・不具合でも敏感に反応する可能性が高いです。
そのため、付帯設備に関する記載をしていても買主が納得しないケースもあるため「経年変化による性能低下やキズなどがあります」「設置後の経年劣化をご了承ください」など文言を添えておくと安心です。
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まとめ
不動産売却で家具や家電などの設備を残す場合、設備の種類や状態について記載した付帯設備表の作成が必要です。
具体的な記載事項は決められていないものの、設置時期・使用期間・欠陥や不具合の有無など細かく書くとトラブルを防げます。
不明点があれば買主や仲介業者の担当者に相談して、売買契約の準備を進めましょう。
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