不動産を購入する際、所有者や抵当権の有無など、その不動産の情報を登記します。
所有者が1人なら単独名義、複数名の場合を共同名義といい、夫婦や親子で住宅を購入するケースなどが多いようです。
ここでは、1つの不動産を夫婦で購入する場合の「共同名義」について、メリットやデメリットを解説します。
不動産を共同名義で購入する方法!登記の持ち分とは?
1つの不動産を共同で出資して購入し、その出資した割合に応じた持ち分で登記します。
たとえば、4,000万円のマンションを夫2,000万円、妻2,000万円とお金を出し合って購入した場合、それぞれ2分の1の持ち分の共同名義になります。
夫3,000万、妻1,000万というように、半分でなくても共同名義として登記できます。
最近は共働きも多く、それぞれがローンを組んで返済するケースも増えているようです。
効果的な税金対策!共同名義で不動産を購入するメリット
住宅ローン借入額を増やせる
住宅ローンを組む場合、借入れの限度額は年収によって審査されます。
夫婦共働きの場合、夫と妻の年収を合算することで、"借入額を増やせる""審査に通りやすくなる"メリットがあります。
住宅ローン控除が夫婦それぞれ受けられる
夫婦別々に住宅ローンを組んでマイホームを購入し、共同名義で登記すると、夫婦それぞれが「住宅ローン控除」の適用を受けることができます。
住宅ローン控除とは、"住宅ローンの年末残高の1%が、所得税と住民税から10年間減税される"制度。
共働きの夫婦の場合、夫と妻それぞれの所得税、住民税に対して住宅ローン控除が使えます。
売却時の特別控除を夫婦それぞれが受けられる
マイホームを売却した場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除を受けられる特例があります。(3,000万円の特別控除)
夫婦の共同名義のマンションなどを売却するケースには、夫と妻それぞれが3,000万円の控除を受けられるため、非課税枠も大きくなります。
将来的なトラブルも?共同名義で不動産を購入するデメリット
共同名義人の収入がなくなってもローンの支払いが必要
夫婦それぞれが住宅ローンを組んでいる場合、それぞれが順調に働ければ問題ありませんが、転職や退職で収入が減少したとしても、支払い額は変わりません。
また、収入がなくなれば住宅ローン控除も受けられなくなるため、住宅ローン控除の適用期間や返済計画を明確にしておきましょう。
売却手続きが煩雑になる
共同名義の住宅を売却する場合、売買契約書には、名義人全員の署名と捺印が必要となり、単独名義と比べると手続きは煩雑です。
相続が発生すると所有者が増える
共同名義人のどちらかが死亡して相続が発生すると、相続人(子など)が複数いる場合、共同名義人と相続人で相続することになります。
当初は2人で共同名義だったものが、3人、4人と増える可能性があり、増改築や売却の際に全員の足並みが揃わなくなる恐れがあります。
離婚の際もめる可能性がある
離婚の場合、一方が持ち分を売却して今後の生活費にしたい、もう一方は売却せず住み続けたいと考えるなど、住宅の扱いについて意見が分かれるケースがあります。
ただし、どちらかの独断で住宅を売却し、現金化されることは防ぎやすいといえるでしょう。